最低資本金規制特例制度を活用した「1円起業」の会社としては初めての上場を果たした比較.com株式会社。第1回はその誕生の裏側と成長の背景について渡邉社長に語ってもらった。今月のC-Class|人材紹介サイトC-Class

【プロフィール】

渡邉哲男

71年福島県生まれ。慶応義塾大学卒業後、ベンチャーキャピタルに入社。2003年8月比較.com株式会社設立。06年3月東証マザーズ上場。

比較.com 株式会社:http://www.hikaku.com/

観客からプレイヤーへ、比較.comの設立

私は元々、そんなに強く起業の意志を持っていたわけではありません。
比較.comの設立の前は、ベンチャーキャピタルでベンチャー企業に投資をする仕事をしていました。その中で、ベンチャー企業の成功した社長・失敗した社長の姿を見たり、時には一緒に仕事をし、その姿に感銘を受け刺激された事、インターネットブームの中で「比較」のニーズは育っていくとの確信をした事から、自分でも起業してみようと思い事業を立ち上げました。
ちょうど立場が逆になったというか、外からビジネスを支援する側から、実際にビジネスを運営するプレイヤーの立場になったわけです。
元々、旅行が好きだったこともあり、航空チケットの比較をするところから「比較.com」を立ち上げたのがビジネスの始まりです。

1円の価値の大切さ

実際に立ち上げてみると事業の大変さというのは、並大抵のことではありませんでした。
その時初めて、1円を稼ぐ事の大変さを身にしみ、その反面で稼いだものを大切に使うというコスト感覚の重要性を感じました。たとえば、コピー用紙1枚、電話料金1分の値段も無駄にできないと、リソースがない中切り詰めた営業活動をし効果をあげました。
ベンチャーキャピタル時代に見てきた事業をおおまかにまとめると、10社のうち成功するのは1社ほど。4社がまあそこそこで、残りの半数は残念ながら失敗してしまいます。
その失敗の理由の大半は、分不相応のオフィスだったり、経営陣の無駄遣いであったり、身の丈以上のお金の使い方にありました。
そうやって目にしてきた失敗の例と、身にしみて感じた1円の大切さをこれからも事業活動をする上で、守っていかなければならないことだと思っています。
そのコスト感覚は、「比較.com」の運営にもとても役に立っていると思います。

一番大切なのは、ユーザーの視点

「比較.com」では、旅行・航空チケット、金融・証券、その他ショッピングやプロバイダーなど生活全般に関わるものを扱っています。
インターネットの登場によって、自宅にいながらにして情報が取得できるようになりました。一方で、その情報が氾濫し、取捨選択が難しくなってきています。
その中で「比較.com」では、公正中立な立場から、氾濫する情報の交通整理を行い、ユーザーの生活に指針を提供しているのです。
その責任においては、情報が正確であること、情報のスピード感、ある程度以上の情報量が大切です。そのためには、常に緊張感を持って仕事をしないといけないと思っています。
現在、ユーザーからのクレームは、社員全員が共有するようにしていますし、その対応は何よりも優先するよう徹底しています。
世の中とズレたサービスを提供していては、ユーザーが離れていってしまうからです。

正直に、素直に、地に足の着いた経営

おかげさまで2006年3月にマザーズ市場に上場させてもらいましたが、上場した後こそ重要だと考えています。
上場して、投資家からのお金を預かっている以上、株主の期待に沿えるよう企業価値を高めていかなければなりません。特に私たちが上場した時は、市場が好調であった時期でもあり、株主の期待もとても高いものとなっています。
だからといって、株主の耳に聞こえのよい、現実的でない計画を立てたり、無理な投資をしたりしても仕方がありません。
直接お金を生み出していただけるのは、ユーザーであり、広告主であるクライアントであるわけですから、そのビジネスの基本的な部分を忘れることなく、できることをひとつひとつこなしていくことこそが、実は企業価値を高める最善の策だと思っています。

今月のC-Class

  • 8月 渡邉哲男氏
    • 第1回
    • 第2回
  • バックナンバー