IT関連をはじめとするベンチャー企業に特化し、会社法、M&A、知的財産権などの企業法務を専門とするベンチャー弁護士の大村氏に、自身のベンチャースピリッツについて語ってもらう。今月のC-Class|人材紹介サイトC-Class

【プロフィール】

大村 健

大村 健 74年埼玉県生まれ。96年中央大学在学中に司法試験合格。99年弁護士登録し、04年弁護士法人かすが(現・弁護士法人かすが総合)社員(パートナー)弁護士に就任。現在、弁護士法人かすが総合業務執行社員(パートナー)弁護士。

社長と話すことが刺激的

私はベンチャー企業に特化して企業法務を取り扱っている訳ですが、その理由として常々自分自身がベンチャー経営者でありたいと思っていることの他に、ベンチャー企業の社長は皆、とても魅力的な方が多いということがあげられます。
独自のアイデアと実行力を持って企業を創造してきた方々は、個性的で、エネルギッシュでお話をしていて、こちらが大変刺激になるのです。
私自身も「頑張ろう」という気持ちになりますし、同じく高い志を持つ人とお話しすることは双方にプラスになりますよね。
そういった方々とは、必ず一流のお店で会食するようにしています。一流の方と一流の話をするのであれば、一流の場所を選ばなければいけないのは当然のことです。ここでいう一流の店・場所とは必ずしも値段の高い店・場所というわけではありません。
仕事についても同じです。私たちは、専門性の高い仕事をしているわけですから、それに見合った報酬をいただかなければならない。決して拝金主義というのではなく、仕事の責任とその対価としての報酬をいただくのは大切なことだと思っています。
一流の仕事をして一流の方々と付き合う。それも私のポリシーのひとつなのです。

迅速対応、柔軟性、そして提案すること

先ほどのような会食の場から、新しい仕事が生まれる、といったこともよくある話です。
実際に現在の仕事の多くは私の人脈からスタートしたものです。
仕事をいただくにあたって私は、まずは人間関係を作ることが大切だと思っています。人としての信頼を得た上でビジネスの環境を作るわけです。
その上で大切にしているのが、迅速対応、柔軟性、そして提案すること。
よく、軽い感じで法務について聞かれることがありますが、そういった質問にもできるだけその日のうち、遅くとも24時間以内に回答するようにしています。
次に柔軟性。私たちの仕事ではともすると慣例重視になりがちですが、とりわけベンチャー企業では、これまでにないビジネスに対して、法的に考察していかなければならない。その中では、慣例や既成概念にとらわれるのではなく、新しく柔軟な発想で取り組むようにしています。
そして、最後に提案すること。起こったことに対処するのではなく、事前に想定したことに予防策を打つ戦略的法務としては、あらゆる想定の中でどうしたらよいのか、具体策を提示する必要があるのです。

「何でもできる」は「何もできない」と同じこと

ここ5年くらいで仕事の内容を企業法務のみに絞るようシフトしてきています。
私もこの仕事を始めた当初は、「何でもできます」と答えてきたんですね。事実頼まれれば何でもこなしてきました。しかし方針もなく手を広げていると、それではどんどんと時間がなくなっていく上に、その結果としてクオリティを保てなくなります。悪いサイクルにはまっていくのですね。
私たちは専門性の高い仕事をしているわけで、その成果にはクオリティの高さが求められます。そのためには自分のスペシャリティを活かせる分野に絞って仕事をしたほうが、より効率的に、より深く勉強をすることもできる。
「何でもできる」ではなく、「私にはこの分野ができる」という確固たる得意分野を明確にすることがクオリティの高い仕事を創造していくのだと思います。
これは、ベンチャー企業の経営にも通ずることなのではないでしょうか。

柱が三本あれば充分

では、その得意分野は何なのか。お会いした方に「私は『会社法・金融商品取引法(M&A、ファイナンス及びIPO含む)』『知的財産権法(それと表 裏をなす独占禁止法含む)』『情報関連法(営業秘密、個人情報及びセキュリティ等)』ができます。」というようにしています。
この分野の法務を必要としている方には明確なプロポーザルになりますし、現在必要としていなくても、近い将来必要となったときに声をかけていただけます。
得意分野は三本あれば充分。私の部下も含め、私たちにはそれぞれのスペシャリティがあるわけですからそれぞれの専門分野を分担して徹底的に掘り下げればよい。私の部下は、それぞれ人事労務、商標法、著作権法、不動産、フランチャイズ、独占禁止法等を得意としていますので、事務所として個々のクライアントのニーズに対応しています。
「餅は餅屋」という言葉もありますが、特定の分野に専門特化することにより、クオリティの高いサービスを提供できるだけでなく、我々の時間もより効率的になり、よいサイクルをつくり出す事ができるわけです。
今後も、この三本の柱に絞って専門的に取り組むことによって、ベンチャー企業の戦略的法務を担っていきたいと考えています。