目指す世界があるのか?人材を選ぶ基準はそこにある今月のC-Class|人材紹介サイトC-Class

【プロフィール】

澤上 篤人

1947年、愛知県名古屋市生まれ。70年〜スイス、キャピタル・インターナショナル社でアナリスト兼ファンドアドバイザーを務め、スイス、ピクテ銀行日本代表を経て96年さわかみ投資顧問株式会社設立。99年日本初の独立系投資信託会社さわかみ投信株式会社を設立。

採用基準は、夢を持っているかどうか

私たちの社員について、個性的だとよく言われます。
それは私が、採用にあたって、その人の技術や能力、スキルなどではなく、「心根」というかどんな心を持っているかを大切にしているからではないでしょうか。
私たちは決してお金儲けだけを目的として投資をしているわけではありません。よりよい世の中をつくるひとつの手段として、投資という形で社会に貢献しているのですから、「世に中の役に立ちたい」「こんな社会があったらいいのに」といった、気持ちの部分を大切にしていきたいのです。
実は私どもの社員のうち金融出身者はわずか10%程度です。そんな人たちが、さわかみ投信を舞台にして、自分の夢を実現するために働く。それこそが本当の意味での働く姿だと思いますし、その信念をコアに持っている人たちは、大きく伸びる可能性を秘めているのだと期待しています。

専門性よりも、「人ざま」「生きざま」

もちろん専門性は必要ですよ。
でも専門性があれば、それでよいかというと決してそうではない。我々の仕事では専門性というのはあって当たり前であって、専門性があるからといってアドバンテージがあるわけではない。つまり、必要条件であっても十分条件ではない。
専門性で勝負していたのではよそと同じじゃないですか。私たちが目指しているのは世界一なんですから、同じことをしていては面白くないわけです。
では、専門性が必要条件だからといって、それを人材を選ぶ必須の基準に掲げるのもまた、それは違う。専門性なんてものはすぐ身につくものですよ。気持ちがある人なら、必要とあらば必死になって勉強するでしょう。
後から身につくものを採用基準にしていてはもったいない。その人が世の中に対しての夢を持っているかどうか、それを実現するために何を考えているか、といった最も大切な部分を見逃してしまいかねない。
ですから、専門性よりも、その人の「人ざま」「生きざま」を見るようにしているのです。

人を育てることの意味

よく人材を育てるには、といった類のことを聞かれますが、そんなたいそうなことは考えていません。
まずは、人をまねてその中で自ら学ぶことが大事ですね。そのためにはやはり、人としてのベースが問われるんですね。知識レベルの話であれば、教えなくても自分で覚えるわけですし、自分に必要なものを見つけ出して自ら身につけていく能力が必要です。
ではもう少しレベルの高い仕事の仕方であったり、運用の仕方などを学ぶにははどうするのか。それこそ人に教えてもらおうと思っていてはうまくいきませんね。
私たちは本当の意味での長期運用を実現すべく前例のないことやろうとしていますし、世界一になろうとしている。前例のないこと、比較の対象がないことをやろうとしているのに人から学んでいてもしょうがない。「べき論」ではなく、まずは自ら実践してその中から学ぶことが大切なのです。
ですから、常日頃から「まずはモデルをつくれ」と言っています。長期運用のモデルをつくってこちらが学ばれる立場にならなければいけません。

夢を共有しよう

私たちは「101年プロジェクト」として、次世代の社会をイメージしながら、思いやりや誇り、価値観を込めた長期投資を実践し、よりよい世の中をつくっていきたいと提唱しています。
「ヴィレッジ構想」という言い方もしていますが、簡単に言えば、社会に投資して、社会のおかげでリターンを得たのであれば、社会のために使っていきたいということなのです。
前回、「お金は回り方が大事」と申し上げましたが、それと同等に「お金の使い方も大事」なのです。
その使い道のひとつの例として、わたしたちの社屋を郊外に移し、水も空気もきれいなところで仕事をし、過剰な消費をしない社会のモデル(ヴィレッジ)をつくりたい。
そのためには最低限、安定的な投信の成績を上げていなければならないし、利益のみを追求しすぎてもいけない。社会との共生、つまりよい社会をつくった結果としての利益と、社会への還元のサイクルを大切にしていかなければなりません。
決してお金儲けだけが目的でない、夢を共有した上での、よりよい社会をつくる手段としての長期投信を実践していきたいと願っています。