次世代の継承者をつくることが経営の重要課題 今月のC-Class|人材紹介サイトC-Class

【プロフィール】

真柄 秀明

54年北海道生まれ。77年、明治大学卒業後、東京商工リサーチに入社。調査員として企業の信用調査・情報収集および営業活動に従事する。97年取締役に就任。06年代表取締役に就任。

経営を学ぶべきは100年続く中小企業にある

最近、私どもでは100年以上の歴史を持った企業に注目しています。企業の寿命は30年といわれる中、長く続くこと自体とても意義のあることなのですが、続いていることの背景にはそれなりの理由があると思うのです。
100年というと、何度も時代の変化を乗り切ってきているわけですが、時代の変化に対応して事業そのものも変化させてきているわけです。
そういう視点で見ていくと、大企業や急成長を遂げるベンチャー企業ばかりが優良企業というのではなく、実は地方の和菓子屋さんに学ぶべきことがあったりするのです。
時代に合わせ業態を変化させているところもあれば、かたくなにひとつのことを貫いているところもある。それは自社の事業をどう捉えているかによるんですね。
また、100年ですと少なくとも三代は世代交代をしています。世代が代わってもうまく事業継承していくにはそれなりのノウハウがきっとあるはずです。
急成長を遂げる、あるいはそれを目指すということも大切なのですが、人事体制や財務体質、文化の浸透といったところにひずみがでます。
こうした歴史のある企業を見直して、もう一度学んでいくことが必要なのではないでしょうか。

数字には表れない企業のよさを見る

多くの企業にお伺いしてるとさまざまな経営者と出会います。
中でも日本の中小企業の特徴といえるのが、経営者=技術者である小規模のメーカーです。儲かるかどうかは度外視して純粋に技術を追求している。技術に夢中になっていて常に純粋なんですね。
経営者としてマネジメントをしっかりしたり、経営効率を優先してはどうかともどかしい部分もあるのですが、実はこの姿勢が「モノづくり大国日本」を支え、技術を磨いている原動力だったりするんですね。
こうした企業に大企業の効率化のロジックをあてはめてもうまくいきません。十把ひとからげで見るのではなく、一社一社の個性を大切にして数字には表れない分に着目すべきです。それは社長の人柄であったり、情熱であったり、取引先との付き合い方であったり。中には債権者までもがその企業を応援しているケースだってあります。
そういった情報を数字だけではなく調査員が面談して足で収集しているからこそ、TSRの情報が価値のあるものになっているのだと思います。

育てるのではなく、しくみをつくり出す

企業の大きな使命は、雇用の創出と納税義務を果たすことだと思っています。どちらも社会を形成する上で大きな意義を持っています。
そのために一番大切なことは、その企業が存続していくこと。企業が存在していることそのものが価値があるのです。
ですから企業にとって、事業継承は大きな課題です。しかしながら、次世代の人材を育てていくことは結構難しいんですね。特に経営者の育成は技術者に比べ、目に見えにくいだけに難しいものがあります。
そこで私が人材育成について考えていることは、育てるのではなく育つ環境をつくること。教えていては教える人の器以上にはならないですし、教えられる方も自分の意思で成長しようと思わなければ伸びないわけです、その上ではフィフティフィフティなんですね。
ですから、本人が育つという意思を手助けするしくみをつくるのが経営者の仕事になってくるのです。

歴史を引き継ぐことが自分の役割

私は入社時から調査員の仕事をしていたのですが、3年くらいたったころから、「こういうデータがあれば」「こうだったらいいのに」と見えはじめ、「いや、こういう風にしたい」と強く思うようになりました。
そこで独自のデータベースのあり方を考えたり、その活用方法を開拓したりして社長を任されるようになりました。
社長といっても117年のうちのこの3年を任せていただいているに過ぎない。
社長としての私に課せられた使命は、117年続いてきた歴史、社員の思い、お客様との関わりといった、大切なものをそのまま健全に次の世代にバトンタッチしていくことだと思っています。