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今月のC-Class

隅田浩司氏
交渉人

慶応義塾大学法学部法律学科、同大学院法学研究科修士課程、博士課程修了(法学博士)。 東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を経て現在、大宮法科大学院大学講師、慶応MCC(丸の内シティキャンパス)客員ファルカティ。経済法、国際経済法を専門に、交渉学および知財戦略を研究。慶応MCCにおいて「戦略的交渉力」講座の担当講師を務める。著書に「プロフェッショナルの戦略交渉術」(日本経団連出版)。『交渉学入門』(日本経済新聞出版社、共著)

隅田浩司のマネジメントカフェテリア
  1. vol.1 交渉マネジメント@
  2. vol.2 交渉マネジメントA

交渉をマネジメントする上で重要な点は?


いくつもありますが、1つ挙げるなら、2分法の考え方から抜け出すというのは大切です。
例えば、交渉相手から10%ディスカウントを求められたら、即座に、「何%にしようか」考え、「○%でお願いします」、もしくは、「それは無理です」と、答えを述べている方が多いのではないかと思います。
ですが、そこでイエスかノーかを即座に答えるのではなく、なぜこの人はディスカウントを求めてくるのかを考える。質問の本質、その背景を見抜くのが大切です。 「これでどうですか?」と聞かれると、イエスかノーで答えないといけない、と思いがちですが、そもそも相手の質問に答えないというのも手です。そもそも答えないといけない義務や強制力はないですからね。 特に日本人は「ちゃんと答えを出さないと失礼にあたる」という考えで幼少から教育を受けてきているので、2分法に陥りやすい。
ただ、実はお互いに満足して合意するには、2分法でなく他の道を相互に探すほうがいい場合があるんですね。強制力はないし、不利な方へ自分から行ってしまうリスクもあるわけですから、間を少し取ってみてください。


交渉相手に議論が通用しない場合や、理屈が通用しない場合などはどうすればよいでしょうか?


そもそも交渉を受け入れない、あるいは理屈が通じない相手と向き合う場面に出くわす時があります。
こちらの心理としては「相手と合意したい」と考えているため、こちらからどんどん譲歩してしまう。だけれども、そもそも何のために交渉しているかというと、「合意するため」ではなく、「利益を得るため」ですよね?
合意することが目的になっていき、利益を生まない合意で終わったというケースは多いんですが、それでは意味がない。 冷静になって考えて、利益がないと感じたらやめる決断も必要です。
著書でも書いていますが、BATNAという考え方は是非取り入れてほしいですね。
「best alternative to a negotiated agreement」の頭文字を取ったもので、望んだ合意が成立しなかった場合の代替案のことで、言わば撤退案と言えます。交渉をはじめる前にこのBATNAを認識しておくことが大切です。
もし相手から合意し難い提案をされたとき、まず相手の本当にニーズは何なのか、ディスカウントが絶対なのか、ほかの代替案がないのかを探る癖はつけたいですね。 「ディスカウントが絶対」と相手に意識付けられると、そこから意識が離れられなくなり、そもそも利益が生まれない譲歩が発生してしまう可能性がある。
でもBATNAを事前に定めておけば、利益が生まれない譲歩をするくらいなら撤退しよう、と決断することも可能になるのです。


交渉における撤退ラインを見極めるにはBATNAが重要なのですね?


これまで交渉にかかった時間的費用や人的費用コストを気にしすぎると「これだけやったんだから、最後はなんとか合意にこぎつけよう」という感情の混じった考えに至ってしまうことが多い。ここで感情を抜きにしてBATNAを引き出せばいいんです。
今回の交渉に臨む上での、ミッション・目標・BATNA、この3つを用意するだけで事前準備は十分です。狙っていた目標を外さなければそれがベストですが、そこから外れる場合もBATNA、つまりベストな代替案(撤退案)を用意しておけばほぼ完璧です。
その相手とどの程度の深さ・長さの関係が築けそうか、というのは良く見極めの判断基準として利用されますが、もし判断基準として使うのであれば、「○年後にこの会社と取引しているだろうか」と考えた場合にそれが想像できないようであれば、いっそ、撤退案を採用すべきなのです。


今週のプロフェッショナルシンキングQUIZ 回答

Q:
交渉相手から、「他の会社はもっと安い見積もりなんですけどね」と言われたらどうする?

@「では早速こちらも勉強します」と言って、10%値引きする
A「それならその会社で買ってください」と席を立つ
B「そうですか。御社のご希望をもう少し教えていただけますか」と質問する

A:
B 相手の言葉をそのまま鵜呑みにして、それを前提に考えるアンカリングにかからないことが大切。
そのためには質問して相手から情報を引き出すことに集中したい。

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